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'92,12月 Vol,24
さて、受動素子についての基礎的な所がほぼ終了した時点で、いよいよ能動素子に入る
訳ですが、その前に、たまには役に立つ物の回路設計をやっておかないと、初期理念に
反するという思いがふつふつと沸いて来ました。
しかし、受動素子のみの知識で出来ることは限られています。
一般的に考えつくのはフィルタ回路ですが、これについては四端子回路網で説明したいと
思っていましたので、とりあえず直流計算で出来るアッテネータとして“抵抗減衰器”に
ついて、その一部なりを説明したいと思います。
☆抵抗減衰器
抵抗減衰器は、回路の途中に挿入することが多いので、その ほとんどは、
(1)減衰器の入力インピーダンスと出力インピーダンスを等しくしている。
(2)挿入前の回路のインピーダンスを乱さない。
としている。
≪ 形 ≫ 主として4つの形がある。
※H形は、入力側および出力側から見て平衡しているので 平衡形と言う。
※L形・T形・π形は、不平衡形と言う。
≪ 計算 ≫
(問) 特性インピーダンス75Ωの伝送線路に抵抗減衰器をいれて、その出力電圧を
入力電圧の 1/10 にしたい。どうすればよいか? |
(答) 電圧レベル = 20log10(VOUT/VIN)
= 20log10( 0.1 )
= - 20 [dB] |
つまり問の意味は、入出力インピーダンスが 75Ωで、減衰量が
0dB の抵抗減衰器を設計して
その回路に挿入したいと言っているのです。・・・・→ 目的の理解
とりあえず、π形でやると決めましょう。・・・・→ 回路パターンの決定

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今、 前図の様に変数を決める。
入出力インピーダンスを同じにするということは、
π形にするなら回路の対称性により R3 = R1であるから、
・・・・→ 代数計算の開始
R3 と Z0 は並列接続なので、この合成インピーダンスを Z1 とすると
Z1 = R1Z0/(R1+Z0)
次に、R2と Z1 は直列なので、この合成インピーダンスをZ2 とすると
Z2 = R2 + Z1
= R2 + R1Z0/(R1+Z0)
さらに、R1はZ2 に並列なので、この合成インピーダンスを Z3 とするが、
入出力インピーダンスが同じなので、 結局は Z3 = Z0 とする。
Z3 = R1Z2/(R1+Z2)
= R1〔R2+R1Z0/(R1+Z0)〕 / 〔R1+R2+R1Z0/(R1+Z0)〕 …1式
レベルの点から考えると、
VOUT = VIN ・ Z1/(R2+Z1)
VOUT/VIN = Z1/(R2+Z1)
= R1Z0/(R1+Z0) / 〔 R2+ R1Z0/(R1+Z0)〕 …5式
これを1式に代入するために、変形すると、
R2+ R1Z0/(R1+Z0)・ VOUT/VIN = V1Z0/(R1+Z0)
R2+ R1Z0/(R1+Z0) = VIN/VOUT・ R1Z0/(R1+Z0)
ここで、計算の簡略化のために VIN/VOUT = k と置くと
R2+ R1Z0/(R1+Z0) = k ・ R1Z0/(R1+Z0) …2式
さて、2式を1式に代入すると、
Z0 = R1〔k・R1Z0/(R1+Z0)〕 / 〔R1+k・R1Z0/(R1+Z0)〕
= k ・ R1Z0 / ( R1+ Z0+ k・Z0 )
Z0(R1+Z0+ k・Z0) = k・R1Z0
Z0( k+1 ) = R1( k-1 )
R1 = Z0 ・ ( k+1 )/( k-1 )
= Z0・〔(VIN/VOUT)+1〕 / 〔( VIN/VOUT ) - 1 〕 …3式
ここで、2式を R2 でまとめると、
R2 = k ・ R1Z0/(R1+Z0) - R1Z0/(R1+Z0)
= ( k-1 ) ・ R1Z0/(R1+Z0)
これに、3式を代入すると、
R2=(k-1)・Z0・Z0(k+1)/(k-1) / 〔Z0+Z0(k+1)/(k-1)〕
= Z0・Z0( k+1 )/( k-1 ) / Z0〔 1 + ( k+1 )/( k-1 )〕
= ( k+1 )( k-1 )・Z0 / 2 k
= Z0 ・ ( k2-1 ) / 2 k
= Z0 ・〔(VIN/VOUT)2-1〕 / (2・VIN/VOUT ) …4式
こういった一般方程式は極めて有用であります。こんな大変な導入計算は・・・
と思う人がいるかも知れませんが、この導入計算は一度やっておけば後は使うだけですし、
練習のために、途中の計算過程をほとんど省略しないで書いたので、大変さのイメージに
拍車をかける結果になっているだけです。
ハードウェア設計においては、まあソフトウェアでたとえれば
サブルーチン・ライブラリのようなものでしょう。
このライブラリの豊富さが、設計者の実力の証しなのではないでしょうか?
さて、やっと 一般方程式が導けましたので、いよいよこれに数値を入力して答えを
出しましょう。求めたいのは、R1とR2ですから3式と4式に入力します。
Z0 = 75 [Ω], VIN/VOUT = 1/(1/10) = 10 より、
R1 = 75 ( 10+1 )/( 10-1 ) = 91.67 [Ω]
R2 = 75 ( 102-1 )/( 2・10 ) = 371.25 [Ω]
答えは出た物の これで正しいのだろうかと心配な方は、試し算をして下さい。
≪ 試し算 ≫
回路インピーダンスは、1式より求め、減衰量(マイナスのゲイン)は、
5式を使って求めます。
ゲイン=20log10(VOUT/VIN) = 20log10(5式)
=20log10{R1Z0/(R1+Z0) / 〔R2+R1Z0/(R1+Z0)〕}[dB] …6式
さて、実際は、この様なピッタリな抵抗はありませんので、
24系列や96系列の中から最も近い定数のものを選ばねばなりません。
そういう意味でも試し算は、必要です。
あっ!と。 またも 紙面をずいぶんオーバーしてしまいました。
ここではπ形しか出来ませんでしたので、L形,T形は各自導いてみてくださいね。
ところで、このATTを実際に使用したらどこまで理論値に迫れるか、
どこまで高い周波数まで使えるかは、実装技術の方へバトンタッチすることになります。
《今月の思い》目的地まで....
まだ ま だ と お 〜 い
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